育児休業 編
〜 育児休業って、なぁに? 〜
出産後は、いよいよ育児が始まります。育児と仕事との両立のために、この章では、おもに子どもが1歳になるまでに利用できるさまざまな制度などをご紹介します。

◇育児休業って、どんな制度なの………
育児休業制度とは、労働者が育児のために退職することなく一定期間休業することができる制度です。
「育児・介護休業法」では、1歳に満たない子を養育する労働者が、事業主に申し出ることによって育児休業をとることができます。たとえ、事業所に育児休業制度の規定がなくても、法律を根拠に申し出ることによって、労働者が取得できる権利です。
Q 育児休業は、男性でもとることができますか
A 育児休業をとることができるのは、1歳未満の子ども(養子を含む)を育てる 男女労働者ですので、男性もとることができます。
*育児休業制度の対象から除かれる労働者
1. 日々雇い入れられる者、期間を定めて雇用される者 (育介法第2条)
※パートタイム労働者でも雇用期間の定めのない労働者であれば育児休業をとることができます。
2. 労使協定で定められた一定の労働者 (育介法第6条@)
a)勤務期間が1年未満の者
b)配偶者が育児に専念できる者
c)休業の申し出の日から1年以内に雇用関係が終わる者
d)1週間の所定労働日数が2日以下の者
e)配偶者でない親(内縁の妻(夫)など)が育児に専念できる者
◇育児休業をとるためには、どうしたらいいの………
[[ 育児休業の申出 (育介法第5条) ]]
法律の育児休業は、労働者が事業主に申し出ることを要件としています。育児休業を申し出る場合は、「育児休業申出書」を事業主に提出してください。
なお、育児休業の申し出の回数は、原則として1人の子につき1回限りです。
*「育児休業申出書」に記載する事項
■必ず記載する事項
1.休業申出をする年月日
2.休業申出をする労働者の氏名
3.申出にかかる子の氏名、生年月日、続柄(子が出生していない場合には、出産予定者の氏名、出産予定日及び続柄)
4.休業開始予定日および休業終了予定日
■場合によって記載する事項
5.申出にかかる子以外に1歳未満の子がいる場合には、その子の氏名、生年月日、続柄
6.申出にかかる子が養子である場合には、養子縁組の効力発生日
7.その他の事情
*申出書が会社にない場合は、1から7の内容を記載したものを事業主に提出してください。
*「育児休業申出書」の書式例は次のとおりです。

[[ 事業主による休業開始日の指定 (育介法第6条B) ]]
希望どおりの日から育児休業をするためには、原則として育児休業を開始しようとする1ケ月前までに申し出ることが必要です。申し出が遅れた場合は、休業を開始する日を変更されることがあります。

Q いったん育児休業の申し出をしましたが、保育所に預けられることになったので、休業することをやめたいと思いますができますか。
A 休業申出の撤回ができます。(育介法第8条)
法律では、休業開始日の前日までは、その申し出を撤回することができます。撤回の理由は問われません。事業主に書面でその旨を申し出ましょう。
ただし、撤回をした場合は、その育児休業の申し出の対象となる子については、原則として再度、育児休業をすることはできません。
◇育児休業はどれくらいとることができるの………
[[ 育児休業期間 (育介法第2条、第9条@) ]]
育児休業の期間は、養育する子どもが満1歳に達する日(誕生日の前日)までの間で、労働者の申し出た期間です。
*申し出ることのできる休業は連続したひとまとまりの期間です。
1回の申し出で複数の非連続的な休業を申し出ることはできません。もちろん連続していれば、短くてもよいので、極端に言えば1日や2日でも育児休業をすることができます。
Q 共働きの場合、夫と妻が交替で育児休業をとることができますか。
A 母親は産後休業が終了した日から、父親は子どもが産まれた日から育児休業をとることができます。夫婦が一定期間ずつ、例えば前半は母親が育児休業を、後半は父親が育児休業を交替でとることもできます。ただし、育児休業は、原則として1人の子どもについて1回、連続する期間にしかすることができないので、母親がとって、父親がとって、再度母親がとることはできません。

* 育児休業期間の変更
休業の申し出を行った後に、労働者のさまざまな事情の変化により、休業期間を変更する必要が生じることもあります。このような場合、1回に限り、
育児休業期間を変更することができます。
ただし、法律で認めるのは、休業する期間を長くする変更のみであり、短くする変更は、事業主の同意が必要です。
*育児休業期間の変更ができる場合(育介法第7条)
1. 休業開始予定日の繰上げ変更
次の理由がある場合変更できます。
a)出産予定日前に子どもが生まれたこと
b)配偶者が死亡したこと
c)配偶者の病気などにより子どもを養育することが困難になったこと
d)配偶者が子どもと同居しなくなったこと
育児休業の開始予定日とされた日の前日までに、申し出てください。
2. 休業終了予定日の繰下げ変更
変更する理由は問いません。
休業終了予定日の1ヶ月前までに申し出てください。
繰り下げ変更は、休業終了予定日より後の日に変更する場合のみで、子どもが1歳になるまでの期間が限度となります。
*育児休業期間を変更する場合は、「育児休業期間変更申出書」を提出しましょう。
*「育児休業期間変更申出書」の書式例は次のとおりです。

*会社に申出書がない場合は、次の事項を書いて提出しましょう。
1. 変更の申出の年月日
2. 変更の申出をする労働者の氏名
3. 変更後休業を開始(終了)しようとする日
4. 変更の申し出の事由(育児休業を開始する日の繰上げ変更の場合のみ)

◇育児休業中の賃金は………
育児休業中の賃金については、労使の話し合いによって決められます。
*育児休業中のさまざまな経済的支援制度(育児休業給付など)はこちら
◇育児休業をとったことで、不利な扱いはうけない………
[[ 不利益扱いの禁止 (育介法第10条) ]]
育児休業の申し出をしたことや育児休業をしたことを理由に解雇その他不利益な取扱いをされることはありません。
[[ 育児休業終了後の職場復帰 (育介法第22条) ]]
育児休業後元の職場にもどれるかについては、法律では、事業主が育児休業をとった労働者を必ず原職にもどすことを前提にしていません。しかし、「事業主が講ずべき措置に関する指針」において、事業主は、休業後においては原則として原職または原職相当職に復帰させることを配慮することとされています。もちろん育児休業をとったことに対するいやがらせ的な配置転換や不当な労働条件の引き下げは行われてはなりません。
また、法律では、育児休業者がいる事業所での労働者の配置や、育児休業をしている労働者の職業能力の開発や向上などについて、必要な措置を行うよう、事業主に努力を求めています。
不利な扱いを受けた場合の相談窓口
熊本労働局雇用均等室 096−352−3865
◇育児休業まではとらなくていいけれど………
育児休業を全面的にとらずに、働きながら子育てをしたいと希望する労働者のために、利用できる制度があります。
ここでは、育児休業のほかに利用できる制度をご紹介します。
[[ 勤務時間の短縮等の措置
(育介法第23条@) ]]
育児休業をとらないで1歳に満たない子どもを養育する労働者のために、事業主は育児休業のほかに働きながら育児をしやすくするため、次のいずれかの制度をとらなければなりません。
* 制度の内容
1. 短時間勤務の制度
2. フレックスタイム制
3. 始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
4. 所定外労働をさせない制度
5. 託児施設の設置運営その他これに代わるサービスの提供

*利用できる労働者
1歳に満たない子どもを養育する男女労働者で、育児休業をしない人です。また、1歳から3歳まで子どもを養育する労働者についても育児休業の制度に準ずる措置または勤務時間の短縮等の措置が適用されます。これらの制度は、「日々雇い入られる者」は対象となりませんが、育児休業と違って
「期間を定めて雇用される者」は対象となります。
Q 育児休業をとった後、短時間勤務の制度の適用を受けることができますか。
A 育児休業をとったことがある労働者であっても、現在育児休業をしていない労働者は制度の対象となります。したがって、半年間育児休業をとった後、子どもが3歳になるまでの残りの2年と半年間について、短時間勤務の制度の適用を受けることができます。
*事業主は、労働者がこれらの制度の適用を申し出たことや制度の適用を受けたことを理由として、解雇その他の不利益な取り扱いをしてはなりません。
[[ 育児時間
(労基法第67条) ]]
生後満1歳にならない子どもを育てる女性労働者は、1日2回それぞれ少なくとも30分ずつ、子どもを育てるための時間を請求することができます。
*1日の労働時間が4時間以内であるような場合は、1日1回少なくとも30分の育児時間でよいとされています。
*育児時間をどの時間に請求するかは、原則として本人の自由です。午前と午後1回ずつとるとか、始業時間のすぐあとや終業時間の直前にまとめて2回分とったり、休憩時間にはさんで請求してもよいこととなっています。
Q 短時間勤務の制度を利用し、なお重ねて育児時間をとることができますか。
A 育児時間は、労働基準法上、授乳など子育てに要する時間を確保するために労働者が請求した場合に認められるものであり、短時間勤務の制度とは目的が異なる別の制度です。したがって、短時間勤務の制度の適用をもって、育児時間を請求できなくすることはできませんし、育児時間を与えているからといって、短時間勤務の措置をとったとみなすこともできません。
なお、短時間勤務の制度と、育児時間と組み合わせて、両方取得することもできます。
*育児時間中の賃金は
法律でとくに定められていませんので、労使の取り決めによります。労働協約、就業規則などで具体的に取り決めましょう。

出典:働きながら出産・子育て手帳(熊本県商工観光労働部) |